いろんな症状を考えてみる|整体のブログ

パニック発作の対処法を考えてみる

思案する女性
 

1.生理学的に交感神経を抑制する方法

パニック障害を克服するにあたって、パニック発作が起こってしまった時に
どう対処するかは極めて重要な要素です。

薬に頼らず、危機から脱することができる方法が存在するなら、
実行するかしないかは別にして、是非とも知っておきたいところですよね。

それで、先日はじめてお越しくださったパニック障害でお悩みのクライアントさんから、
「○○をすると、パニック発作が治まると聞いたけど本当ですか?」
とのご質問を戴いたのですが、興味深い方法でしたのでご紹介します。

① 目一杯息む
② 頸動脈を圧迫する
③ 眼球を圧迫する
④ 水に顔をつける

上記の方法を実行すると、いずれも、迷走神経が刺激されます。
迷走神経とは、12対ある脳神経のひとつで、胸部、腹部にある臓器の
働きを支配しているのですが、迷走神経が刺激を受けると心拍は減少します。

パニック発作は、交感神経が過敏になり、心拍が上昇して動悸が生じますので、
どの方法も、生理学に基づいた根拠のある手段と言えそうですね。

ただ、パニック発作から免れるために効果的な手段かと言えば、
必ずしもそうだとは言いきれません。以下で、ひとつずつ考えてみます。

【拙・気絶とは何なのか?





 

2.息むと身体はどう反応するか?

まず①の、「息む」ですが、重い物を持ち上げようとする時、あるいは、
排便時なんかもそうですが、息を止めて力を入れますよね。これが、「息む」です。

息んでいる際は、胸部や腹部の内圧が高くなるのですが、液体は圧力の高いところから、
低いところへと移動する性質がありますので、静脈から心臓に戻ってくる血液量は減少します。

さらに、心臓には血液が多く入り込めば、それに応じて血液を排出しようとする
働きがあるのですが、言い換えると、心臓へ戻ってくる血液量(静脈還流量)が少なくなれば、
自ずと身体へと送り出される血液量も少なくなると言うことです。

従いまして、息むことによって圧力が上昇すれば、体内を巡る血流量は減少し、
結果として、心拍数、血圧も低下するという作用機序が働くわけです。

【拙・胸に違和感や圧迫感がある時の対処法
 

3.リスクが大きい手段

それなら、パニック発作から免れる合理的、かつ効果的な方法に思えてきます。
ところが、息むのをやめた途端、身体は通常の状態に戻ろうとしますので、
今度は急激に心拍数が増え、血圧も高くなります。

息むと確かに心拍は低下しますので、パニック発作時の動悸も治まる可能性はありますが、
その後に起こる身体の反応を含めて考慮すると、リスクが大きい手段と言わざるを得ません。

ちなみに、息むと硬膜内の内圧も上昇するため、椎間板ヘルニア等の疑いがある場合に、
医療の現場で用いられる検査法(バルサルバ検査)でもあります。

【拙・呼吸がしにくいのは何故なのか?
 

4.頚動脈洞を圧迫する

頸動脈洞の画像
 
次に②の、「頸動脈を圧迫する」という方法について。

ヒトの身体は、喉仏の左右にある頸動脈洞と、心臓の真上に位置する大動脈弓により、
血圧が常にモニターされています。異変を探知すれば、状態を安定させるために
必要に応じて、血圧をあげたり下げたりしてくれるわけです。

頸動脈洞が圧迫されると、迷走神経が過剰な反射を起こし、交感神経の働きが抑制されるため、
心臓では心拍数が低下し、身体の血管は拡張するため血圧も低下します。

頸動脈洞を圧迫すると、脳へと供給される血液も減少するため、場合によっては、
失神に至ることがある程その効果は絶大です。

柔道を観ていると、絞め技で失神してしまう選手がいますが、あれは頚動脈洞が圧迫され、
頚動脈洞反射が起こった結果として生じる現象です。

違う見方をすれば、単純に力に任せて首を絞めているわけではなく、
身体の生理反応を応用した高度な技術という事になりますね。

【拙・パニック障害が完治しないと言われる理由
 

5.この方法もリスクが大きい

さて、それほど効果があるのなら、パニック発作時に有効な手段になりそうですが、
失神しない範囲内で心拍数を下げる必要がありますので、匙加減がかなり難しいです。

下手をすると、頸動脈洞を圧迫するつもりが首を絞めることにより、
呼吸ができなくなってしまいかねません。トータルで考えると、
この方法もリスクが大きく、安易に試みてよいものではないでしょう。

とはいえ、解剖学からしっかり勉強し、どれくらいの力加減が理想的なのか、
あるいは、圧迫する時の角度が好ましいのか等を試行錯誤していけば、
パニック発作から解放される、とっておきの手段になり得る可能性はありそうです。

【拙・パニック障害に女性が多いのは何故なのか?
 

6.眼球を圧迫する

次に③の、「眼球を圧迫する」という方法について。

眼球を圧迫すると、眼球付近の三叉神経から脳へと刺激情報が伝わり、
脳から迷走神経を介して心臓へと情報が伝達され、心拍数と血圧が低下する眼心臓反射、
もしくは、アシュネル反射(Aschner reflex)と呼ばれる反応が起こります。

②の頸動脈洞を圧迫する方法と違って、眼球ですから圧迫する場所を間違える心配はありませんが、
どの程度の圧迫を加えればよいのか、力加減がかなり難しいです。

眼球を少しずつ圧迫していくと、押されているという感覚から、やがて痛みに
変るのですが、痛みを知覚するレベルまで押し込んでしまうと、
心拍数が急激に低下し、最悪の場合は心停止する可能性さえあります。

以前はマッサージで、眼球を圧迫する手技が存在したそうなのですが、
圧迫し過ぎた際の危険性に配慮して、現在では禁止されているとかいないとか。

とはいえ、強く押し過ぎずに適度な圧力を保てれば、リラックス効果が得られるからこそ、
マッサージの手技として成立したとも言えます。実際に軽く眼球を圧迫するだけでも
気持ちが良く、リラックス効果を得られる
ものです。

【拙・肩がこっているとパニック障害になりやすい?
 

7.予防には不向き

眼球を圧迫する子供
 
頻繁に眼球を圧迫する癖がついてしまうと、角膜や網膜を傷つけてしまう可能性があり、
さらには、白内障や緑内障を誘発する危険性もあります。

つまり、予防法として何度も使える方法ではありません。パニック発作は、
発生させないことを最優先し、早めはやめに手をうっていくのが定石ですので、
発作を起さないための予防策としては、避けた方が無難ですね。

パニック発作が起こってしまった時は、とにかく危機から脱することが優先されます。
それなら、「そういう方法もある」と記憶の片隅に留めて置くのはありでしょう。

切り札を持っていることにより、緊張感が軽減し、予期不安が弱くなる効果も期待できますので、
知っていて損はないかと思われます(実践することを奨めているわけではありません)。

なお、実行する場合は、片側づつ徐々に圧迫する(15秒程度)のが適当です。

【拙・パニック障害の改善に効果のある音楽
 

8.潜水反射を利用する

最後に、④の「水に顔をつける」という方法について。

水に潜り鼻腔粘膜が刺激を受けると、三叉神経を経由し情報が脳に伝わるのですが、
今度は、それを受けて迷走神経が反応し心拍数が低下します。
作用機序としては、眼心臓反射と似ていますが、こちらは潜水反射と呼ばれます。

鼻の中に水が入り込んだ情報が脳に伝わると、充分な酸素を確保できない、
つまり、息ができないと判断され、酸素の消費を最小限にしようとします。
その結果として、心拍数低下や血流量低下が起こるわけですね。

これなら、①から③の方法とは異なり、実行するにあたって大きなリスクを
背負うことなく、簡単に心拍数を下げることが出来そうです。
さらに、水に顔を浸けると呼吸できませんので、過呼吸も抑制してくれます。

水に顔を浸ける方法は、外出時に実行することが難しい点が残念ではありますが、
自宅にいる際にパニック発作が起こった場合なら、効果的な対処法と言えそうです。

【拙・パニック障害なら酒は控えた方がよいか?
 

9.強力ですが危険度も高い

ポーズを決める女性
 
最後になりますが、もし、上記の方法を実践する場合は、①から④の全てにおいて、
急激に心拍が低下する可能性があります。

つまり、立ちくらみと同じ現象が起こる危険性がありますので、立った姿勢で
実行するのではなく、必ず適当な場所に座ったうえで試みてください。
転倒して怪我をしたり、事故にでも遭おうものなら目も当てられません。

ここでご紹介した方法は、いずれもヒトの生理学的反応、反射を利用したものですから、
身体にもたらす変化は強力ですが、一方でリスクも高くなっていることは確かです。

従いまして、上記で紹介した方法を実行するには、専門家の指導の元で、
身体の反応を確認しつつ、無理のない範囲で試行錯誤していくのが良さそうですね。

関連記事
【拙・パニック障害を克服するために知っておきたいこと
【拙・パニック障害の人にお伝えしたいアロマの使い方
【拙・パニック障害の予期不安を解消する方法
【拙・薬なしでパニック障害を治そう
【拙・労力をかけずに自律神経のバランスを保つ方法




最終更新日 2017年8月20日


2016年7月19日 | カテゴリー:パニック障害の症状

あわせて読みたい記事

お問い合わせ

自律神経失調症・パニック障害・不眠症

西宮・芦屋 ながた整体院

0798-32-0446

営業時間

10:30~13:00
15:00~20:30

※木・土曜日は18:00まで

電話受付

20:00まで
※木・土曜日は18:00まで

休診日

日曜日・祝日

»当院へのアクセス

»メールでのお問い合わせ

PAGE TOP

お問い合わせ