お風呂にはいって鼻づまりが治るのは何故なのか?
1. 鼻がつまるということ
先日クライアントさんから、「お風呂に入ると鼻がよく通るようになるのはなぜ?」
とのご質問を戴いたのですが、生理学、免疫学に基づいて考えると少々複雑ですが、
なかなかに興味深いお話しですので整理してみました。
「今日はなんとなく鼻がつまっているな」と感じるのは、鼻の粘膜が腫れて、
鼻から吸い込んだ空気の通り道が狭くなっているからです。
この、「鼻の粘膜が腫れる」という現象は、粘膜皮下の毛細血管が拡張している、
つまり流れる血液の量が増加していることにより起こります。
2. 鼻づまりと自律神経の関係
それで、血管を収縮させたり、弛緩させたりしながら血流の量を制御しているのは、
自律神経の働きによるもので、自分の意思ではコントロールできません。
自律神経の働きによって、仕事や勉強など積極的に活動している際には血管は細く、
逆に睡眠時や休憩などリラックスしている際には血管が広くなります。
それなら、お風呂に入ることによって、副交感神経が優位になり血管が広がれば、
血流量も多くなり、鼻づまりが解消するどころか、逆につまってしまいそうなものです。
この辺りの事情が、鼻づまりと鼻づまりが解消するメカニズムを少し難解にしていますが、
入浴することによって鼻づまりが解消するケースを具体的に考えてみましょう。
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3. 花粉症による鼻づまり
ひとつは、風花粉症や風邪をひいている時にくしゃみや鼻水を伴う例の症状です。
花粉症や風邪を患うと、身体は粘膜を腫らして空気の通り道を狭くすることにより、
異物が体内に侵入することを阻止しつつ、同時にくしゃみや鼻水で異物を体外へ追い出そうとします。
これがいわゆる、アレルギー性鼻炎と呼ばれる鼻づまりです。
花粉症や風邪が原因で鼻がつまっている人がお風呂に入ることによって
鼻づまりが解消、あるいは軽減する理屈としては以下の通りです。
① お風呂場の湿度により、空気中のウイルスや花粉が激減することによる
② 同じく湿度により、鼻粘膜に付着したウイルスや花粉を洗い流す作用が働く
重度の花粉症を患う方にとって、春先は外出することが億劫になってしまう悩ましい季節ですが、
雨の日には飛散する花粉の量が少なくなるため、一時的に苦痛から解放され一息つけます。
原理としては、お風呂場で雨の日と同じことが起こっているわけです。
4. 寒冷刺激による鼻づまり
次に、アレルギー性鼻炎とは異なる鼻の粘膜が腫れる原因として寒冷刺激があります。
鼻の主要な機能として、空気中のウイルスや花粉症、あるいはホコリ等、
異物の侵入を防ぐ以外にも、冷たい外気が肺に入り込むことを防止するために、
鼻を通過する際に外気を暖めて温度調節をしています。
外気が冷た過ぎると、よりたくさんの血液を動員して温度調節をすることになり、
結果的に鼻粘膜皮下の毛細血管が拡張し鼻がつまることになります。
お風呂に入って鼻づまりが解消するのは、鼻から暖かい空気が入り込むようになり、
鼻の粘膜を腫らして温度調節を行う必要性がなくなったためです。
5. 鼻づまりが解消しないケース
ところが、寒冷刺激による鼻づまりであっても、入浴で鼻の通りが改善しない場合があります。
その場合の考えられる要因として可能性の高そうなものは以下の通りです。
① 外の気温が極端に低かった、長時間にわたって身体を冷やしてしまった
② もともと体温が低い等、そもそも自律神経のバランスに問題があった
寒いと自律神経は交感神経が緊張し、血管を収縮させ身体から熱を逃さないようにします。
その状態でお風呂に入ると、副交感神経が優位になって血管が広がり血流が増加しますが、
それによって鼻粘膜皮下の血流が増えすぎてしまったということになりますね。
従いまして、「お風呂に入ると鼻の通りが良くなる」という現象は、誰にでも等しく起こるわけではなく、
むしろ、余計に鼻がつまってしまうタイプの方もいますので注意が必要です。
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2015年3月6日 | カテゴリー:自律神経の乱れ
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