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腹式呼吸と胸式呼吸はどう違うのか?

クエスチョンマーク
 

1. 腹式呼吸と胸式呼吸

 
先日書いた 【拙・深呼吸をするとお腹が膨らむ理由】 を呼んでくださったクライアントさんから、
「腹式呼吸と胸式呼吸ってどう違うの?」とのご質問を戴きました。

腹式呼吸や胸式呼吸は、「名前くらいは聞いたことがあるけど実態は知りません」
という方が多いような気がします。実際にちょっと分かりにくいですし。

いや、両者を隔てる定義は一応あるのですが、はたして自分はどちらの呼吸法で
息をしているのだろう?と考えると判断が難しい類のものです。

というわけで、今回は腹式呼吸と胸式呼吸の違いについて書いてみます。





 

2. 横隔膜と胸郭

さて、腹式、胸式に関らず、呼吸をする際に中心となって働くのが横隔膜です。
横隔膜を上下させることにより、肺を伸縮させているわけですね。

次に肋骨、いわゆるあばら骨ですが、肋骨と肋骨の間には筋肉があり、
この筋肉を伸縮させることによって、胸郭を拡げ肺に空気を入りやすくします。

と言いましても、解剖実習でご献体(複数)の肋間筋を確認してみたところ、
それほど弾力性はありませんでした。つまり、横隔膜ほど呼吸に与える影響は
大きくないと考えられます。
 

3. 肋軟骨の存在

肋軟骨の画像
 
ちなみに、肋骨は背骨から始まって身体の側面を通り、胸の骨に接続
しているのですが、胸の骨と近い部分になると、骨ではなく軟骨に変ります。

胸周辺の肋骨を軟骨で構成することにより、柔軟性を持たせて胸郭が
拡がりやすい構造になっているわけです。

胸の中心にある胸骨の幅が4~5センチ、さらに左右4~5センチの肋骨は軟骨です。

横隔膜が主に縦方向へ肺を伸縮させる働きを担うことに対して、
肋軟骨は肺が横方向に拡がる働きをするわけです。

※ 厳密には相互に連動しつつ縦横に伸縮させています

お越しくださるクライアントさんを見ている限り、子供の肋軟骨は
大人と比較すると明らかに柔軟性があります。

柔軟性があるほど胸郭の可動範囲が大きくなりますので、呼吸がしやすくなり、
健康を維持しやすいのは言うまでもありません。

従いまして、胸周辺の軟骨の柔軟性を保っておきたいところですが、
残念な事に歳をとるに従って軟骨は劣化していくものです。

【拙・呼吸がしにくいのは何故なのか?
 

4. 呼吸は連携があってこそ成り立つ

さて、実際に呼吸をする際には、横隔膜を動かさないで呼吸することは
不可能ですし、逆に胸郭を動かさずに呼吸することも不可能です。
呼吸運動とは両者の連携があってこそ成り立つものなんですね。

そうしますと、腹式呼吸とは主に横隔膜を使った呼吸のことで、
胸式呼吸とは胸郭の動きを主体とする呼吸ということになります。

それでは、普段の自分がしている呼吸はどちらになるのかと考えた場合、
冒頭でも触れましたが判断が難しいです。

健康な人であれば、間違いなく横隔膜と胸郭を使って呼吸していますので、
どちらとも言えません。そもそも腹式呼吸と胸式呼吸で分類して、
「あなたの呼吸はどっち?!」という問いかけ自体ナンセンスではなかろうか。

【拙・肋間神経痛による胸の痛み】 

5. 呼吸筋と呼吸補助筋

呼吸補助筋
 
それなら、「呼吸の仕方は気にしなくてもいいのね?」と問われると、
そうでもないです(どっちなんだよ・・・)。普段の呼吸に問題がある人は確かにいます。

横隔膜や肋間筋は呼吸するために必要な呼吸筋と呼ばれますが、
文字通り呼吸をする際の中軸を担っています。

それとは別に、首肩周辺の筋肉は呼吸補助筋と呼ばれ、通常の呼吸では
必要な酸素をまかないきれない場面になると活躍します。

運動をした後には、「ハァハァ」と肩で息をしますよね。
これが首の筋肉を使った呼吸なのですが、横隔膜による呼吸だけでは
酸素の供給が追いつかないため、呼吸補助筋の助けを借りているわけです。
 

6. 緊急時における呼吸

先にも述べました通り、横隔膜は肺を上下に伸縮させますが、
首周辺の筋肉を使っても肺を上下に伸縮させることが可能です。

息を吸い込む際に、横隔膜は肺の底にあたる部分を下方に引きさげて
容積を増やします。一方で首の筋肉は、胸郭全体を上へと引き上げる
ことにより肺が拡がりやすい状況をお膳立てします。

つまり、よりたくさんの空気を吸い込むために、呼吸筋(横隔膜)と
呼吸補助筋(首周りの筋肉)は、間逆の動きをすることによって、
より効率的な肺の伸縮を実現しているわけです。

【拙・胸の痛みの原因は心筋梗塞?
 

7. 問題がある呼吸の見分け方

解説する女性
 
呼吸補助筋を使用して息をする概略はお分かり戴けたかと思います。
繰り返しになりますが、普通の呼吸では酸素量をまかないきれない時に
出番が回ってくる、いわば緊急的な呼吸法です。

言い方を変えると、運動をしたわけでもないのに肩で息をしているとすれば、
健康的とは言えません。横隔膜の動きが制限された結果として、
肩で息をしているわけですから、身体になんらかの問題があるわけです。

見分け方は簡単で、鏡の前に立って自分の肩が上下しているのが
目立つようなら、それは首の筋肉を使って呼吸している証です。

どういうわけだか世間一般では、この肩を上下させる呼吸こそが胸式呼吸だと
看做されている傾向があるため、話がややこしくなっているのが現状です。
 

8. まとめ

長くなってしまいましたがので、まとめると以下の通りです。

◇ 本来は、横隔膜と胸郭が連動して呼吸をしているため、
  腹式呼吸、胸式呼吸に固執する意味はありません。

◇ ただし、普段から肩を上下させて呼吸している場合は、
  健康に問題を抱えている可能性が高いため注意が必要です。

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2017年3月4日 | カテゴリー:身体のおはなし

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